らーめん再遊記(7) (ビッグコミックス)

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評価:★★★★ (4.8 / 5)

📢 Amazonでの購入者の声を紹介します


【1】

どこぞのサイトでラーメン発見伝の紹介で一話を読みそのまま電子版を買ってしまったが最後、才遊記まで見事なストーリーテリングで一気に読ませてもらった。好きな漫画の上位に入ったことは言うまでもない新たな再遊記ももれなく購入。上記2作とも趣が多少違っていたが、今回もまたまた違う。なのに面白い。全2作はラーメンだけでなく、経営、そして主人公の成長物語もあったが、今作は成長とは少し違う。他の方も書かれているように、哲学やカルチャーを意識した話や、老いについての描かれ方が印象的だ。特に今巻の塩匠堂のラストは、老いに関する描かれ方が特徴的で、少ししんみりする。それと同時に色々な表裏一体も描かれている。紳士的な老い方をしていると思いきや、ゲスな一面が見えてしまったり。この巻ではないが、中華そば至上主義かと思いきや好きなチェーン店のファンだったり。好きなチェーン店のことを悪く言うラヲタかと思いきや、自分の店のお客様だったりもする。塩ラーメンが大して美味しくないものではあるが、その味が好きな人もいるというコト。一枚岩ではない世の中。老いと言う名の経年劣化でも考え方は変わっていく。その辺も意識して読むとまた滋味深い作品だと思います。まぁ、下らないこと言いましたが単純に続きが楽しみです


【2】

シリーズ第一作「ラーメン発見伝」は「発見」の物語であった。主人公・藤本浩平がラーメンを通じて芹沢を始めとする様々な人々と出会い、新たな視点を「発見」し、クライマックスでついに自らのラーメン史の原点を「発見」する物語であった。第二作「ラーメン才遊記」は「才」の物語であった。有名料理研究家の一人娘、主人公・汐見ゆとりが幼少時よりはぐくんだ「才」をラーメンの世界で開花させる物語であった。今作「ラーメン再遊記」は「再」の物語である。自らの人生の絶頂期が過去となったことを自覚したとき、人は何を拠り所に生きるべきか。薫陶を授けた子弟が成長して自らを追い抜き、自分の時代は終わったと自覚したとき、人はどう振る舞うべきか。畏敬の対象だった恩師が老いてかつての輝きを失い駄馬となった姿を見たとき、人はそれにどう向き合うべきか。成長と衰退と世代交代のなかで、人はどうすれば「再」び輝けるのか。本シリーズはその第一作「ラーメン発見伝」の時点から、登場人物の幼少期や青年期の描写が実に上手かった。それを可能にしていたのは、登場人物の造形的な特徴を年齢を超えて描ける作画力と、登場人物ひとりひとりが背負っている歴史を構想できる原作力である。作画と原作の双方が持つこの類い希なる描写力の美しい連携は本作に於いても遺憾なく発揮され、いやそればかりか「再」を効果的に描く原動力となって、物語に大河ドラマのように豊潤な時間軸の広がりを与えている。第二作「ラーメン才遊記」の最終回は主人公の「才」が開花する出発点が時間と空間を超えて大きな人のつながりに在ったことを明らかにして、その構成の美しさは数多のレビューで絶賛を浴びた(ラーメン才遊記 第11巻のレビューを参照されたい)。今作の最終回もまた、主人公の「再」が完結する着地点が美しいものであることを期待せずにはいられない。


【3】

この巻だけではなく再遊記では加齢による変化が話のネタとしてあちこちに盛り込まれています。最初は今までのシリーズとは違う物を書きたかったのかまたは主人公の芹沢さんが50代になったことを意識してのことかと思っていましたが本当に意識しているのはメイン購読者の方かもしれません。発見伝の連載開始がもう20年以上前従って発見伝から読み続けている読者の大半は40歳以上と予想して狙い撃ちにしているのかもしれません。芹沢さんというキャラクターを生み出した作者ならそのくらいの計算はしていそうです。


【4】

皆さんも経験したことあると思うんですが、自分が言う分にはいいけど他人から指摘されると腹が立つことってありますよね?グルタくんの放った幻想というのが当にそれで、グルタくんはありもしないものと断じたわけなんですが、芹沢さんにとってはかつては存在していたものだったんですよね。だから老いた永倉さんを見ていられず距離を置いたのに、昔を知らない若造がそう言い放つのに我慢ならずに一度出した結論を覆して本当にそうなのか試したのが裏テーマだったわけで。結果は本編の通りで、芹沢さんがかつて尊敬を抱いた偉大なる先達の面影はどこにも残っていなかった。本当はなにもかもお見通しで自分を試したことを咎めるくらいレジェンドの健在ぶりを見せてほしかったのにそうはならず、虚しさを感じてひとりごちる結末にしたことで老いへの作者のスタンスが見て取れて良かったです


【5】

相変わらずセリザワさんは性格悪いね(笑)外食コンサルタントとの因縁?の関係も面白い(?)し本音トーク満載のまどかちゃんも可愛くて良い。ただまだウブナままのラーメンユーチューバーのグルタ?君は引っ張りすぎのキャラでは?


【6】

ラーメンハゲこと芹沢さん。かつての毒舌、絶対的な経営者・コンサルタントだった頃からは一線から引いた身からか丸く穏やかになった感はあるが、そこはラーメンハゲ。目論みや魂胆は衰えず小気味良い。だがしかし。世代交代を図るのかグルタくん中心にストーリーが進む中、芹沢さんはどうなるか、次巻2023年7月って早くない!?


【7】

この巻で塩ラーメン編は終わりですが、今回は珍しく人間味のある芹沢さんが見られます。この塩ラーメン編はネットで有名な芹沢さんのセリフ「情報を食っているんだ」と通ずる話でもあり、昨今の流行り的に思い当たる人も結構いるんじゃないかという深い話でした。このシリーズは前2つのシリーズよりも食文化の考察やコンサル視点が強いので読んでいて純粋に面白いです。


【8】

塩ラーメン編完結巻。ラーメン発見伝7巻に収録されている「スープが冷めた日」と併せて読むとさらに味わい深くなると思う。理想とする淡口らーめんの失敗と、妥協の産物濃口らーめんの成功の間で葛藤する芹沢の最初の理解者(一番の理解者だと思っていた銀行の融資担当は舌バカだった…)である心の師とも呼べる人の衰えを再認識して「昔話だ…」と切なく〆るシーンは秀逸。


【9】

40歳を過ぎて、芹沢さんがB級(C級?)グルメに舌鼓を打つ姿に心底共感する。グルメジプシーは疲れるよね。他の方も書いているが、米倉との種明かしから回想に至るまでのシークエンスが醸し出す物悲しさ、哀愁が秀逸。


【10】

全シリーズを読んでると更に楽しくなるのがこちらの再遊記。ただのグルメ漫画ではなく様々な視点からラーメンを広く深く知れて楽しめる漫画です。


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※この記事は 2025年6月27日 時点の情報です

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