評価:★★★★ (4.8 / 5)
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【1】
シリーズ全体での折り返しを迎えた第7巻は、全てが1話完結の短編で構成されている。秀逸なのは、湾岸戦争と英国軍の醜さを告発する「勝利の陰に」だが、それ以上に、人が人を信じることを、その強さ、難しさ、尊さなど色々な角度で描いた短編揃いであることが、この巻を5つ★とする所以だ。「緑のフーガ」はキートンに匹敵する手強い追跡者とキートンとの対決をメインにした緊張感ある作品だが、同時に人を護りたいという信念を固く持つ者の強さが基調にある。終盤「キートンさん、死なないで下さい。あなたみたいな人は死んじゃいけない」と叫ぶ相手への「あなたもね」と笑顔で返すキートンにこそ真の強さを感じた。三枚目を専らとするダニエルをメインに据えた「ブルーフライデー」は、決して目新しさはないが、そのラストでは、一人のバツイチ男として、友人に接するキートンの友との絆が、ブルーフライデーの音色とともに心に染みてくる。そして、その染み方が酒の美味さ・苦さに似たものであることを、他人を信じることを正面から扱った「ウイスキーキャットの村」はハッキリ教えてくれる。そして、「幸運は雨と共に」では、キートンの旧友が、キートン同様に不遇な考古学者人生を嘆きつつも、キートンは彼を暖かく励ます。自身と重なる点、自身より幸せを担って欲しいと思う点などなどあって。そして、形を変えた「信じること」を描いた「帰郷」「天使の両翼」も心に伝わるものがある。
※この記事は 2025年7月2日 時点の情報です