ゴールドマン・サックスに洗脳された私~金と差別のウォール街~

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評価:★★★★☆ (4.0 / 5)

📢 Amazonでの購入者の声を紹介します


【1】

うわべだけのES、CSR、コンプラ。GS社のベールを剥がす。18年間働き、勝ち組、トップ8%のMDになった女性。だが、洗脳され支配されてきた数多のショッキングな出来事。嫌がらせとハラスメントで、価値観とモラルが歪んでいく。職場はインクルーシブな場であるべきだと。


【2】

読み物としては面白い。が、いくつか???となる点があった。年間数億円稼いでいてもお金がないからゴールドマンをやめられない、というジレンマを抱えていた主人公はどんな生活をしていたのでしょうか。


【3】

ゴールマンサックスは日本でもその名を知らないビジネスパーソンはほとんどいないと思われる、米国最大手の投資銀行のひとつです。投資銀行は日本では証券会社に該当します。本書はゴールマンサックスに約20年勤務し、上位8%しかなれないGM(ゼネラルマネージャー)にもなった女性である著者が、そこで経験した様々な不条理を時系列で描いた私小説的な要素を持つノンフィクションです。あとがきで著者が述べていますが、著者がゴールマンサックスに入社したのは1998年退社したのは2016年なので、2024年現在のゴールマンサックスの状況を的確に表現しているとは言えないでしょうし、あくまで、著者の経験の範囲で語られているのでその部分は念頭に置いて読むべきなのは間違いはありません。しかし、巨大な売り上げと時価総額を持つ企業が以下のような視点をかつて持っており、それが現在も企業風土として残している可能性があることは多くの人が知っていてしかるべきと考えられます。①他者を攻撃・罵倒する文化(説明会ではきれいなことばで多様性を強調するものの、入社したら、できていないこと、不十分なことに対して、またビジネスと関係がないような容姿や装飾や性別に関しても、それをもとに攻撃・罵倒し、相手を委縮させる文化がこれでもかと紹介されます。)②仕事時間だけでは終わらない仕事(本書の中では仕事の後の食事会やパーティーの描写が繰り返し描かれます。明確には述べられませんが、この場所にいないと意思決定やビジネスチャンスから外されることが描写から感じ取れます。実際上司と趣味を同じくしている人のほうが社内政治でよい成果をあげているという描写が多く見られます。)③女性(妊娠した女性を含む)やマイノリティに対する差別やハラスメントの横行(本作中では、新しく赴任してきた男性の社員が筆者に対してセクシャルハラスメントを行う様子、作品の最終盤で4人目の子供を出産したのちに職場復帰した著者が搾乳のために仕事場を離れるたびに行われる稚拙な嫌がらせ、同様の属性の男性社員がアフリカ系の男性飲食店店員に暴力的にふるまう様子等々…具体例のオンパレードですが、これらを読むと、地域や企業の性質が異なってもハラスメントは強者が権力維持と、弱者に屈辱感を与えるためにしているという共通点があることに気づかされます。)③実際の家族よりも、チームとしての「家族」を優先すべきという文化(著者の直接の上司は、職場のチームを「家族」と考え、現実の家族よりも優先すべきだと口にします。同僚のハラスメントを社内のコンプライアンスに該当する窓口に言うと、そのことが、上司に知れ渡り、守ってもらうどころか、もみ消された挙句、おなじことをするなと言われます。)④情実(個人的な利害・感情がからんで公平な取扱いができない関係や状態)による業績・人事評価(①~③のようなことがあったとしても、当然ないほうが良いに決まっていますが、業績評価が適正であれば、という思いで本作を読んでいました。しかし、そんなことはなく、360度評価という方法で上司や同僚からの評価をもとに、賞与の査定が決まるため、ほとんどの人が上司や同僚へワイロにあたるプレゼントを贈っていたり、自分の嫌いな人間の評価を下げるために、人を雇って極端に低い評価をつけさせたりしていました。作者も上記のような嫌がらせで評価を下げられる場面が出てきます。)書いていてつらくなってきたのでこれくらいにしておきます。ただ、男性中心主義、マジョリティ中心主義の持つ害悪は世界共通なのだというつまらない結論をあらためて実感させられました。他の方がレビューで触れらていた著者の不倫に関する描写に関しては、あえてあまり触れませんでした。このような苛烈な職場では人間としての倫理が崩壊しやすいのもある程度共通のできごとなのかもしれません。加えて、ゴールマンサックスに勤務する女性が枕営業的なことで仕事の業績を伸ばしていることも述べられており、この点も悲しい事実を知らされた思いでした。最後に、この著者の人間性を貶めるようなレビューが複数見られましたが、あらゆる人が完璧ではありえない以上、そのような視点での論評は不適切だと私は考えています。あらゆる職場で、同様のことが一刻も早くなくなることを私も願っています。著者と同様に。


【4】

著者は相当いかれた人なんだと思う。1)将来自分の子供も読むかもしれない書籍に、上司との不倫とセックスの細かい描写をかなり具体的かつ全体のストーリーに対して必要以上に多く書いている→たぶん著者にはこの不倫がある意味キャリアのハイライトであったのだろう。2)20年間のゴールドマンサックスでのキャリアで着実に成功の階段を登っていき、そのためにほとんどの時間は彼女の嫌悪していると言うゴールドマンサックス文化の忠実なフォロワーであっただろう→それをいかにも自身は嫌々していたように表現しているが、本当に嫌悪している人はそこまで長続きしない。3)年間数百万ドル(数億円)の収入がありながら、教育資金や生活資金を貯めるためにゴールドマンサックスで働き続けなくてはいけない、とあるが、、、→質素な暮らしをしていると言っているが、どういう生活をしているのか?頭の良いが、いかれた嘘つきが本を売るために、自分のキャリアと会社の人間関係を脚色、誇張したストーリーのように感じた。ネタバレになるので、あまり多くは書かないが、ピートも最後にこの人の本性を見てしまったのだと思う。読みやすい日本語訳で、ドラマ調仕立てのストーリー展開なので、読みやすい。著者のいかれた人間性は星1、文章は星5、なので間をとって星3です。


【5】

100%著者の主観であるため、ゴールドマンサックスの組織体系やビジネスにおける真実を知る事ができると思って購入すると全く違う「物語り」が展開される。本国アメリカでの部数はどの程度か気になるが、あくまで1つのゴシップとして捉える方が正しい。キャリアを考える一助にはなるかも知れないが、プラダを着た悪魔やマイインターンのような「キャリアウーマン奮闘物語り」である。個人的には縁遠い世界だけあって、単なるエンタメとして楽しんでしまった。


【6】

女性が社会進出して男性社会のなかで奮闘してきたこの数十年間。女性蔑視(男尊女卑)や差別偏見が行われてきたのは日本や韓国だけかと思っていたら、なんと世界トップクラスの米国企業でも!しかも日本企業よりあからさまにに!モラルのない男性社員達から屈辱を受け続けながら働かねばならない。。世界の先端をいく企業でまさかと思った。私の経験上、日本では田舎や中小企業ほど年配層が多くコンプライアンス研修等も遅れていて、逆に都心の大企業から女性社員やライフワークバランスに対する配慮やコンプライアンス研修といった動きが広まっている印象が強かったので。退職後に出版した著者の勇気に感動する。米国でMeToo運動が起きたのは、こうした社会背景があったんだと裏付けされる一面を垣間見た気がした。諸所、著者の感性や考え方に違和感を抱いた点としては不倫の描写がエグかったこと(夫が読んだらどう思うかとか考えないのだろうか?)。よくこの本を出したあとで夫婦関係を続けられるなと感心する。また、退職後すぐ専業主婦になってから育児の過酷さに打ちのめされていたが、今まで逆に気づかなかったの?それが専業主婦であり育児だよ!と思った。今まで家事育児に非協力的だった世の男性達もきっとそんな感じで、育児よりも仕事の方が過酷と思ってたんだろうなーと思った。どっちの方が大変かは人によって向き不向きあるから何とも言えないが、人間を育てる仕事だって孤独や重圧、体力気力と戦いながら大変である。それから生活費節約のために職場から離れた場所で暮らし、長時間通勤になってワークライフバランスが崩れて疲弊感が増したり家族との時間が減った要員と思う。そもそも高い給与の一つの理由は、職場に近い家賃や物価の高いエリアに住むためにあると思う。そこらへんの家計や時間管理、妥協や割り切り感無いところが私には理解できない。日本にもたまにそういう人いるけれど。。そしてゴールドマンで戦友のような存在だったピートが最後にあのような態度を取ったのは、もしかすると著者に異性としての好意があったのか?それとも著者に辞めないでくれというアピールをしてきたつもりだった(そう明記されてるわけではないが、ピートの態度の描写から読み取った私個人の見解として)が伝わっていなかったことの苛立ちか?この本をピートがどこかで手にして、ピートから連絡があったとかインタビューに応じてくれた等、ちょっとした番外編があったら読みたい。ゴールドマンの中に、白人男性社員達が会議のあとパーティー(飲み会)を度々開いて泥酔して、、そしていかに盛り上がって仲良くなったかで業務提携やらM&Aやらの契約を交わして経済を回している。。この点については納得した。私の見て感じてきたことは間違いではなかったんだと確信した。私も日本で仕事をして似たような状況を目の当たりにしてきて、こんな酔っ払いのおじさんばかりで高級店やカラオケや居酒屋で連日飲み会ばかりして、企業同士の大事な約束交わしたり案件進めてるの??と疑問に思っていた。私の知らないところで、本当はもっと大事な話し合いでもしてるのか?私は会議と飲み会にとりあえず呼ばれるとマスコットか?と。この本を読んで、ああ米国大手の証券会社も結局同じで、つまり日本で見てきた社会の一片はむしろそっちの文化から流れてきてるんだな〜と今になって整合性がとれた感覚。社会勉強(社会の裏側を知る)の一冊として、総合評価は大変おもしろかった。また著者の願い通り、今後の企業モラル向上が図られ、著者の努力が報われることを願いたい。本に記載されたモラルの低い社員達が、社会的評価の低下や失墜により反省を促してほしい。


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※この記事は 2025年7月5日 時点の情報です

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